モアミザン堀の"独自解説!キネマブック"

映画を観た感想をつらつらと書くブログです。

#34 「太陽」

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今日は山の日。

何か山に関する映画でもと思いましたが、昨日の記事で今日書くものを決めちゃってたので予告通り。

「太陽」

2006年、アレクサンドル・ソクーロフ監督作品。

主演はイッセー尾形

 ロシア人が描く昭和天皇

これだけ聞けば不安しかない。

大体外国人(主にアメリカ)が描く日本はトンデモ要素満載だから致し方ない。

しかし、結論から言うとこれはよく出来てる。

 

そもそも昭和天皇という存在自体、日本では映画に出すのが非常に難しい。

どういう描き方したって絶対にどこかに角が立つ。

そんな大変なこと進んでやろうなんて奴はそうそういない。

こんな感じで日本ではほぼ昭和天皇という存在を冷静客観的に描くことは出来ない。

 

しかしこの作品はそれが出来ている。

この監督、「権力者四部作」という作品群を作っており、「モレク神」ではヒトラーを、「牡牛座 レーニンの肖像」ではレーニンを描いたりしている。

 

「国民を愛するがゆえに、私はこの戦争を早く終わらせることができない」

実際のところ、天皇は継戦も停戦も決められなかった。

そういった政治的権力は持っていないのだ。

 

周囲は自分のことを神様だなんだと畏まるが、人間扱いはしてくれない。

他の人と何も変わらないのにだ。

誰も自分を愛していない。

周りに人はいっぱい居るのに圧倒的な孤独。

 

イッセー尾形の演技と、かなり配慮された演出も相まって、十分に見応えある作品。

決して史実ではないにしても、嘘くさい感じは全然しない。

日本のように色んな所に気を遣いまくった結果良く分からないものになったりもせず、非常に冷静に描かれている。

 

この作品は監督も言っている通りドキュメンタリーなんかではなく、劇映画である。

それでも観ないのは勿体ない作品。