自由気ままに独自解説!キネマブック

映画を観た感想をつらつらと書くブログです。

#79 「ハドソン川の奇跡」

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今回は満を持してこの作品を。

ハドソン川の奇跡

2016年、クリント・イーストウッド監督作品。

出演はトム・ハンクスアーロン・エッカート

 やっと、やっと!この作品を観る事ができました。

 

2009年というごく最近発生し、両エンジン停止からハドソン川への不時着水、そして全員生還という奇跡的な事故として当時メディアでも大きく取り上げられた

USエアウェイズ1549便不時着水事故」が題材のノンフィクション。

この事故で、該当機の機長チャズレイ・サレンバーガーと副操縦士ジェフリー・スカイルズは一躍時の人になりました。

 

事故から数日後、機長ら乗務員は世間で英雄と称賛される一方、国家運輸安全委員会(NTSB)の事故調査で追及を受けます。

本当にラガーディア空港に引き返せなかったのか、テターボロ空港にもたどり着けなかったのか。

シミュレーションでは、バードストライクによる両エンジン停止後、どちらの空港へも無事に引き返すことが可能だったという調査結果も出ていました。

また調査の過程で左エンジンが動いていた可能性が浮上。

本当に機長の判断が正しかったのか疑われます。

 

機長自身も度重なるNTSBの追及で、次第に判断が正しかったのか不安に苛まれていきます。

また、あの日を境に自身を取り巻く環境ががらりと変わってしまった事で、かなり憔悴しきっている様も描かれています。

そりゃそうです。

今まで特に何事もなくそこらへんの人と同じように黙々と仕事をしていただけなのに、ある日突然世界中から注目されるわけです。

自分はホテルに缶詰め、奥さんがいる自宅にもマスコミがずっと張り付いてる状況、すぐには受け入れられないでしょう。

また、自分の操縦していた機体がマンハッタンのど真ん中に墜落する幻覚も見たりと、ずいぶん混乱していた様子も描かれています。

 

公聴会の前夜にバーを訪れた機長は、テレビを見ながら当日の出来事を回想。

離陸から両エンジン停止、管制官とのやり取りやそこからハドソン川へ着水、救助され今後の調査のためホテルへ…といった感じでプレイバックされます。

そして、そこで機長はシミュレーションが「ある事」を見落としているのに気づきます。

 

そしていよいよ公聴会

当日はエアバス社からシミュレーションが中継され、ラガーディア、テターボロ両空港に無事着陸が可能であったことが証明されます。

ここで機長は確信。

シミュレーションではバードストライク後、すぐに空港へ引き返しています。

そこからは、155名の人命を背負ったパイロットが状況判断に要する人的要因(思考時間や心理状態)が排除されていると反論。

そこで、思考時間を考慮しバードストライクから35秒後に空港へ引き返すようにして再度実施すると、シミュレーションではどちらの空港へも引き返せず墜落。

なかには市街地へ墜落する結果も。

 

その後、事故当時の音声記録が再生され、全てが明らかになります。

結果、ハドソン川への不時着水という機長の判断は正しかったということが証明されます。

 

この音声記録を再生するシーンでは、バードストライクから不時着水までの208秒が再現されていますが、とんでもない緊張感。

ドキドキで手に汗握りっぱなしの3分半です。

 

あらためて考えると、エンジン停止からたった3分半で不時着水を成功させたんだからとんでもないですね…

この辺りの動きはまさにプロフェッショナル。

前代未聞の事故に遭遇しながらも機長、副操縦士、客室乗務員全員がやるべきことをしっかりやっていることが分かります。

劇中で機長も言ってましたが、乗務員をはじめ、救助に向かった人たちなど誰かひとりでも抜けていたら成功しなかった奇跡なんだなあと実感します。

 

また、劇中でとても印象に残っているセリフがあります。

事故後、ホテルに着いた二人に着替えなどを持ってきた同僚?の人が言ったセリフです。

"ニューヨークで良いニュースは久しぶりだ"

"特に飛行機に関しては"

 

もうこのセリフだけでとても胸が締め付けられます。

当時は2008年のリーマン・ショックに端を発した世界規模の金融危機の真っ只中。

ニューヨークなんかはその経済の中心なんですから、影響は相当だったんだと思います。

そして「ニューヨーク」「飛行機」といったら思いつくのはあの事しかないわけで。

そんな中、この「ハドソン川の奇跡」はニューヨークの希望になったわけです。

 

ちなみに、エンディングでは実際のサレンバーガー機長やスカイルズ副操縦士、1549便の乗客らが一堂に会する映像も収録されてます。

 

ニュースなんかで事故自体は知っている人がほとんどだと思いますが、興味のある方は是非これを観て真相を知ってほしいと思います。

もしくはメーデーで。